055226 ランダム
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臥雲県-ただ一つの森の中-

臥雲県-ただ一つの森の中-

番外編 ラキ編

村雨はそういうと、教室を出て行った。
そして、トイレに向かう。
「猫無君。世の中には正直に言わないほうがいいこともあるんだよ。わかる?」
猫無が大きくうなずく。
「なら、よし。」
「あの~・・・よろしいですか?」
「む、村雨か。ど、どうした?」
動揺が隠せないラキ。
「あのさ。バンドのことなんだけど、おれとラキで作詞することになったから。」
「はぁ!!?マジでいってんの!?」
「あぁ、大マジ。」
「そんなんできるわけねぇだろ。」
「やってみなきゃわかんねぇだろ?」
強気な村雨。
「・・・わかった。やってみるか。」
その態度にラキは了承する。
「サンキュ♪放課後おまえん家いっていいか?」
「あぁ・・・こいついるけど、いいか?」
「しょうがねぇだろ。双子なんだから。」
「あぁ~・・・だな。んじゃ、あとでな。」
ラキは猫無と双子の設定を忘れてた。危なく『はぁ?』というところだった。
「あぁ。あとでな。」
・・・放課後・・・
猫無、ラキの家に村雨が向かう。そういえば、あいつらの家に始めていくなぁ。おばさんになんてあいさつしようとか、考えながら歩く。
「ん?ちょっとまてよ。あいつらの家にいったことねぇってことは、場所しらねぇじゃん!!」
ものすごい重要なことを忘れてた村雨。急いで幽海の家に行く。
「いらっしゃい!あら、むらさんじゃないかい、どうしたんだい?」
幽海のおばさんにもむらさんと呼ばれている。
「こんにちは。おばさん!幽海は!?」
「ゆうならまだ帰ってきてないよ。遊ぶ約束でもしてるのかい?」
幽海のおばさんはキャベツを千切りにしながらも村雨と会話と続ける。
「いや、そうじゃないんですけど。いないなら、いいです。たぶん遅くなるんだと思いますよ。じゃあ、さよなら!」
「そうなのかい?またおいで!!」
剣の家も知らないし、もちろんのどかの家も知らない。困り果てた村雨は・・・諦めた。
・・・次の日・・・
朝からラキはイラついていた。理由はもちろん昨日、村雨がラキの家に来なかったからだ。
「ラキ~!!」
教室の外から村雨の声が聞こえる。ラキは机を思いっきり両手で叩き、立ち上がった。その音に教室はざわつく。
「村雨~!!!」
ラキの怒鳴り声にも教室中がざわめいた。
「家の場所くらい教えろよ。」
まったく恐れず、対処する村雨。ラキは少しポカンとする。
「あっ!・・・そっか。」
そして、怒りはどこかへ消えた。
「幽海とかに聞けばよかったのに。バカだなぁ。」
「もちろん聞きにいったさ!でも、雪達と一緒だったんだろ?たぶん。だから、幽海はいなかったんだよ。だから、諦めた。」
「そゆことっすか。しゃあないな。」
「だろ。」
話はまとまり、ラキが村雨に家までの道を教える。
ラキ「でかい家。」
村雨「あ~はいはいはい・・・そういえば、あそこらへんにでっかい家があったなぁ。じゃあ、あれがラキ家か?あっ、でもあっちにもあったしなぁ。じゃあ、あっち?でもでもでも、こっち側にもあったし、あっちにもあった。でかい家かぁ・・・ありすぎるわ!!」
ラキ「ノリツッコミがなげぇよ。」
村雨「うるせぇ!!早く教えろ!チャイム鳴んだろうが!!」
ラキ「え~っと・・・」
村雨「今、どんなこといったらおもしろいだろう?とか考えてるだろ。」
ラキ「あっ、ばれた?」
村雨「そういうのいらねぇから。早く。」
ラキ「いつも、おまえと別れる道までいくだろ。んで、そのあとも、この道をまっすぐいって、そこを右。んで・・・」
村雨「ちょちょちょ、ちょっとまった!」
ラキ「あんだよ。せっかくちゃんと教えてやってんのに。」
村雨「地図もなんもねぇのに、“この”とか“そこ”とかいわれてもわかんねぇから。」
ラキ「頭ん中に入ってんだろうが。いつもの帰り道なんだから。」
村雨「ラキ自分でいってたじゃん!おれと別れる道までいって、って。別れちゃったらそこから先、真っ暗だからね!!イメージまったくわかないって!」
ラキ「ったく、めんどくせぇ。」
村雨「やめろよ!おれが悪いみたいな言い方!!」
ラキ「なぁ・・・。」
村雨「ん?」
ラキ「おれらといっしょに帰ればいいんじゃね?作詞するだけだから、楽器も何もいらないだろ。」
村雨「・・・そっか!」
ラキ「ったく。んじゃあ、いつもどおり、放課後おれのクラスに来てくれ。」
村雨「わかった。後でな。」
・・・放課後・・・
村雨はいつもどおり、ラキ達の教室に行き、いつもなら1時間以上話しているところだが、雪組が早く帰ってしまったため、ラキと身支度をする猫無を待ち、猫無、ラキ家に向かう。歩きながら、ラキに耳打ちでどんな詩を書くのかを伝えた。その先は家に着くまでラキ、村雨は無言だった。猫無、1人だけがラキ、村雨に話しかけたりしていたが、全く相手にされず、結局、誰も一言も話さない変な空気になりながらも、ようやく、家に着いた。
「・・・たしかにでかい。」
父親が医者というだけある、金持ちオーラを軽く発する家だった。
「んまぁ、入れよ。」
「ラキ、なにしきってんのさ!元々はおれの家だかんね!」
「今は双子だろ?てか、元々、猫の時からおれは家族だ。」
「間違いじゃないけど・・・。」
口論ではラキに勝てるはずない猫無。
「だろ?気にすんなって。」
ラキが暗証番号を入力し、ドアを開け、ラキが家に入る。
「話はまとまったか?おじゃましま~す!」
続いて村雨も。
「・・・な~んか、納得いかない・・・。」
最後に首をかしげながら、猫無も家の中に入った。そして、2階に皆で上る。母親は不在のようだ。
「んで、猫無。邪魔だから、適当に1人で過ごしていてくれ。おれらは、書斎に行くからさ。」
「・・・わかった~。」
猫無は聞き分けがよく、自分の部屋に入っていった。おそらく、寝るのであろう。そして、ラキ、村雨は1階に下り、本がたくさん置いてある部屋に入った。
「・・・書斎なんてあるんだな。」
「ああ。親父がわがまま言って、作ったらしんだけど、結局は2階のリビングに本を持ってきて読んでるから意味ないんだけどな。」
「へぇ~。」
ラキがいうと、自慢のような感じがないから不思議だ。もし母樹だったら・・・なんてことが村雨の脳裏をよぎる。
「んじゃ、始めっか!」
「おう!!」
ラキ、村雨があれこれいいながら作業を始めた。あまり時間をかけていられないから、今日1日で下書きは終わらせるつもりだった。だが、2人で作るということは、意外と難いことであり、作業は難航する。結局、今日1日で下書きが完成することはなく、明日、明後日と長引いた。
12月7日。
「「できたぁ!!!」」
ようやく下書きが完成する。これでいいか。なんて思ってしまうほどの出来だった。そして、とりあえず、雪達の曲が完成するのを待つ。
12月8日。
村雨は雪に完成したから、聞きに来てほしい。といわれ、のどか家に行く。曲をきいた帰り、そのまま、まっすぐ猫無、ラキ家にいき、持参したギターで先ほどのどかの家で弾いた曲を弾く。
「・・・バカ犬にしちゃあ、上出来だな。」
珍しく、ラキが雪をほめた。
「後は、おれがこれに音をつけていくから。その際、詩の内容がちょくちょく変わるかもしんないけど、そこは簡便な。」
「お~。まかせた。」
それからというものの、村雨は寝る暇もなかった。音を譜面にし、雪を始め、のどか幽海に渡すことや、初心者の幽海への指導、本職じゃない、ベースの練習、などなど、とりあえず忙しかった。


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